VO.7 EPILOGUE

07: Epilogue 印鑑の周りに集まる趣味人たちの共通した答え。あたりまえなものほど美しい。

印鑑というと契約などで必須とはいえ、昨今デジタル化などの流れでその存在意義を問われてきた業界。それなのに、原田晶光堂の周りには一流クリエイター、金融のプロ、さらにはアメリカのプロモーターまでが印鑑と原田晶光堂の魅力を伝えたいと日夜集まり、あれこれと仕掛けをしている。それはなぜだろう?と本人たちと本音トークをしてみました。これを読んで今まで気がつかなかった印鑑の魅力、出会い方、未来の可能性を感じていただければ幸いです。

家安:気がつくと音楽や絵画など含めて趣味人たちが多い集まりですね。社長はずっとベースギタ ーされていますし、よくコンサートにも行かれてますよね。

原田:まあそうですね。でも小林さんは相当よ。ギター自体も作っちゃう人だから。

小林:スライドギターのデレク・トラックスに印鑑を作って渡したことがありますよ。

山下:ギターの神じゃないですか!!

小林:中学の時に音楽を聞き出して、レッドツェッペリンにどっぷり。3大ギタリストの公演は全部見てるかな。昔はね今ほど堅苦しくなかったから舞台近くに寄っていってエルトンジョンと握手とかしましたよ。

原田:小林さんは、NHKの番組でピーターバラカンさんと対談してますもんね。世界配信されている!そして二宮さんは実はゴルフのセミプロ。

二宮:30歳手前までゴルフをしてたんですよ。家業が印鑑だったのですが。
文字はセンスでしょう?だからいつかきちんと向き合おうと思っていました。

小林:二宮さんのお父さんお母さんとは縁があって、お父さんと私は同級だし、うちの妻とお母さんも同級。

二宮:先輩が身近にいますからね、違うものを作ってやろうと日々思うわけです。

小林:私も思ってきたし、今も一本一本をベストでありたいと思っています。どうすると美しくできるのか、最大限はどこか、これぐらいでいいかなんて思えない。いいものを作ろう、それが職人っていうものなんですよね。

二宮:自由に作れるという点ではたとえば篆刻はクラッシックで印章は作曲に近いのかなと思うんですがどうでしょう?

小林:いやー、どうかな。篆刻は確かに古典基礎はあるけど、意外にもすごく自由。だから難しいのよ。そこが面白くて深くて難しくて。余白が大切で余白が生きているかも大切なので、方寸という世界に宇宙があると昔はよく言われたものですよ。

二宮:ピカソの絵と同じですかね。古典や基礎をきちんとおさえた上で、「やっと子どものような絵が描けるようになった」=崩せるようになったと言ったんですよね。この言葉を知って絵描にはなれないと思ったものです。

小林:俳句もそうだけど子どものようには作れないんですよ。大人はね、思惑が出ちゃうから。稚拙さは難しい。ギラギラと技を見せつけるものはいやらしいでしょう?見ていて飽きるんです。だから何気ないものがいい。展覧会もなんでもそう。何回見てもいいものはいい。だからハッとさせなくても、見ていてずっといいと感じるものを作ることが大切なんです。

原田:驚きやギミック、小手先は一過性。今、印鑑って難しい時代であるからいろんなことをやりたくなるし、もがきたくなる。でも改めて文字なんだなあと。ずっと使うものだから、自分自身だからこそ飾らず正直にずっといいものをきちんと作って渡していくこと、その基本に立ち返りたいですし、こうやって新しい挑戦を地に足をつけて一緒にやってくれるこの仲間の存在が原田晶光堂の一番の力だと改めて思うよね。

家安:山下さんや嶋津さんが作ってくださっている映像の世界もそう。印鑑なのにっていう驚きがまず来るかもしれないですが、何度見ても私は見飽きないんですよね。なぜか。それは本質的だからだなあと。原田晶光堂の取り組みって奇を衒ったものではなくて、本来印鑑が持っていた役割を見直していることなんだと今日のお話でも感じましたよ。だからバンカーの生原さんも可能性を感じているし、一般的に印鑑と縁が薄そうな若い世代たちがこうやって惹かれて集まってきている。最近言われていることではなくって本質、これが大切ですよね。

原田:常に「バカやろー」って思ってやってきたんだよね。この会社引き継いだときから色々あって難しいことも多いんですよ、あたりまえにね。

原田:でも、きれいに言い換えると反骨根性。やってやりたいなと思ってきたんです。だってこんな素晴らしい文化と職人さんたちがいて、この市川三郷町(旧六郷町)ってハンコの街と呼ばれてきた場所ですよ。時代が変わったらその時代にとってどんな価値があるか挑戦し続けたいじゃない?

家安:具体的にどんなことを思ってます?

原田:印鑑買う時って素材と書体とケースを選んで買うでしょう?多くの場合、印鑑の素材がその金額を左右するんですよ。でも書体を選ぶのって難しくないですか?みなさん。

荒川:書体まで選べるとか知りませんでしたよ。

原田:海外向け EC サイトではスタートしてますが、追加の代金をいただきますが事前に文字デザインをチェックすることができるんです。でもその満足度が高くって。

嶋津:むしろ海外サイトではみなさん事前にデザインチェック希望されますよね。

原田:印鑑を作るときに文字の意味や形の美しさに出会い、選ぶということをもっと提案したいのでそうやって印鑑を作ってくださる職人さんたちは彫ることが仕事みたいに認知されていますが、文字デザインの領域でもお客様との接点を作りたいんですよね。

小林:文字にはそれぞれ成り立ちや意味、形の意味があるからしれば知るほど面白いんですよ。

家安:たぶん用途はもちろんですが、その人の人柄や漢字によってピタッとはまる字体とかありそうですよね。面白いなあ。そんな選んで学べる動線を作りましょうよ。

嶋津:ウエブも映像ももっと進化できますね。

 

 

あれあれ、エピローグなのにまだ聞きたくなる文字と印鑑の奥深い世界。


まずは自分の一本を手にすることから始めてみよう!




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03:手間暇が人の魅力を作るんだよ。Genjimetalの価値ってそこじゃない?

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05:話題の映像作りとウェブの話。

06:中途半端はできないんだよ。だって歴史の一部だからさ。

07: Epilogue 印鑑の周りに集まる趣味人たちの共通した答え。あたりまえなものほど美しい。