VO.5 CREATERS INTERVIEW

05:話題の映像作りとウェブの話。

印鑑というと契約などで必須とはいえ、昨今デジタル化などの流れでその存在意義を問われてきた業界。それなのに、原田晶光堂の周りには一流クリエイター、金融のプロ、さらにはアメリカのプロモーターまでが印鑑と原田晶光堂の魅力を伝えたいと日夜集まり、あれこれと仕掛けをしている。それはなぜだろう?と本人たちと本音トークをしてみました。これを読んで今まで気がつかなかった印鑑の魅力、出会い方、未来の可能性を感じていただければ幸いです。

家安:しかし、荒川さんがおっしゃったようになかなかここまでのイメージ映像って珍しいですよね。ましてや印鑑なのに!

原田:このプロジェクトがはじまったときにイエヤスさんに映像撮れる人いないって言ったら、伝統産業をきちんとしっとり伝えられる人と、全く違う切り口で伝えられる人どっちがいいですか?って言われてさ。山下さんたちの作品を拝見して、絶対こっち!って言ったんだよね。

家安:で、山下さんに印鑑の映像なんですがどうでしょう?って打診したら、面白そう、ぜひ!と快諾くださって。

山下: このお話をいただいたときに、単に印鑑が斜陽だからなんとか売らなきゃとか、残さなきゃとかではなくってアートに昇華してあげたかった。原田社長ってロックでしょ?表現者としての原田晶光堂を出したいと思ったんですよね。一番初めに作ったのはアイデンティティーを探す、それが印鑑との出会いというコンセプトを強く伝えた映像。海に潜ったり、砂漠を歩いたり、森を彷徨ってたった一人の自分自身を見つけるように印鑑を見つけるんだってストレートに伝えるもの。

原田:シビれたよね。きたーーって思ったよ。

家安:すごくかっこいい映像であることはもちろんなんですが、何よりも多くの日本人が忘れていたこと、そうか、印鑑って自分のアイデンティティーなんだということに気づけたすごい映像作りだと思いました。そしてそれを嶋津さんが WEB ページとして仕上げてくださって、アイデンティティーを見つけるように自分の印鑑を買うという動線を作ってくださいましたよね。

嶋津:山下の映像が強いのでそれに対してお客さまがエモーショナルな部分を刺激されてきちんとさらに買いやすいようにと作り込んでいきました。

原田:そしてこの勢いで海外版も作ろうぜ!ということになり、日本のマーケットだけでなく、海外の人も買えるようにと英語版をまたお願いしたんだよね。

家安:で、生まれたのが2作目の映像。沖縄ロケで撮りましたよね。

 

嶋津:社長にも実は出演していただいたりしています。(探してみてね)

原田:印鑑って通常の用途だけでなく、アートを楽しむようにとか自分で作った作品に印を押すとか、いろんな使い方ができて、それがオーダーすると手元に届くって伝わって来るいい映像だよね。

山下:国も人も用途も思っているよりももっと自由だし可能性があると伝えられたらと。

家安:そして最新作ですよ、genjimetal の鏡面に自然が映り込む、これ!CGじゃないんですよね?

山下:CGじゃないです。笑 実際にこの鏡面の印面に写し込んで撮りました。

山下:少しコンセプチュアルに感じるかもしれませんが、名前を形にしたものが印鑑だとすると名前って現象の存在自体じゃないですか。山も空気も存在しているけど名前があることで形が見える。限定される。世の中を見渡すと戦争が国同士、人の間でも起きていて、それってもしかして名前という限定があるからゆえで全体を見逃してしまっているのではないかと。自分達は自然も含めて空気や宇宙で繋がっていてそのつながりの中で生きているのに。私とあなた、男性と女性のように二元的なものは二つが合わさって一つになる。二つが合わさるとき、個がなくなり一つが見えるとして、genjimetal も文字が消えて自分が映る。
これって日本人っぽい感覚かもしれませんが、自分を映し出す、何もないところに存在する。禅の思考的でもあるなあと。

 

1作目、2作目、3作目と印鑑の意味、核心に迫っている映像。


次作も楽しみ、ということで話は続きます。




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06:中途半端はできないんだよ。だって歴史の一部だからさ。

02:アナログに魅力を感じ、オリジナルが作りたい若い世代を信じて出会いの場所を作らなきゃ。

03:手間暇が人の魅力を作るんだよ。Genjimetalの価値ってそこじゃない?

04:金融のプロがとかく斜陽と言われがちな印鑑業界を応援している理由。

05:話題の映像作りとウェブの話。

06:中途半端はできないんだよ。だって歴史の一部だからさ。

07: Epilogue 印鑑の周りに集まる趣味人たちの共通した答え。あたりまえなものほど美しい。