VO.3 CREATERS INTERVIEW

03:手間暇が人の魅力を作るんだよ。Genjimetalの価値ってそこじゃない?

印鑑というと契約などで必須とはいえ、昨今デジタル化などの流れでその存在意義を問われてきた業界。それなのに、原田晶光堂の周りには一流クリエイター、金融のプロ、さらにはアメリカのプロモーターまでが印鑑と原田晶光堂の魅力を伝えたいと日夜集まり、あれこれと仕掛けをしている。それはなぜだろう?と本人たちと本音トークをしてみました。これを読んで今まで気がつかなかった印鑑の魅力、出会い方、未来の可能性を感じていただければ幸いです。

家安:原田晶光堂が最近メディアにもよく取り上げられていますし、そのきっかけとなった一つがGenjimetalというステンレスの印鑑ですね。これについてちょっと語りましょうか。荒川さん、初めて見られましたよね。どうでしょう?

荒川:すごい仕組みですね、これ!!鏡面から文字が浮かび出るんですね。映像は拝見してましたがなるほどです。

原田:印面を完全に鏡面にしたから顔が映るでしょ?山下さんのアイディアだよね。

山下:元々印鑑が押しやすいようにマット仕上げだったと思うんですが、鏡のように自分を写すものの方がいいんじゃないかと思ったんですよね。何もないところから文字が浮かび上がること。自我を表すのが名前だとすると消えることで自分が映り込み、本質が見えるみたいな。

家安:なかなか他にはない製品だと思うんですが、Genjimetalの魅力って何ですか?

嶋津:私は父にGenjimetalをプレゼントしたんですが、実はApple製品好きな人で。デザインとかものが大好きなんですね。そんな父はGenjimetal を手にしてプロダクトとしての美しさ、その重みとても喜んでくれて、書類に印鑑を押す時嬉しそうなんです。その姿を見ていて、印鑑って一生使えるものじゃないですか、それなら人生の早い段階で出会えたらいいなあと思ったんです。

家安:Genjimetal はステンレスだから欠けたりしないですしね。そこも魅力。

原田:Genjimetalってね、ともすると文字が出たり消えたりするギミックの部分がフィーチャーされがちだけど、それよりも文字、アイデンティティー、印鑑にまつわる想い、所作みたいなものの方が大切なのかもしれないなって思いますね。この印鑑は押すたびにちゃんと印面の朱肉を拭ったりメインテナンスをしなければいけないから簡単便利楽ちんな商品ではないからね。

山下:でも手間暇かかるものってよくないですか?なんでも便利な時代だからその人が大切にしている手間暇や不便さがその人を表しているって思いませんか?人柄に出る気がします。

嶋津:心の余裕が必要かもです。不便さや手間暇を愛するって。

山下:逆に心の余裕を作るためにわざわざ不便や手間暇をやっているのかもね。朝の忙しい時に簡単コーヒーもできるけど、グラインダーとドリップとか焙煎の香りを楽しむとかに時間を取る事で心の余裕が生まれるみたいに。人それぞれ何かしらの不便手間暇ポイントを持っている気がするんです。

原田:印鑑もね、簡単にポンとおせるかもしれないけど、この印鑑はまるで機械式の時計のように手入れが必要。でもさ、機械式時計って職人の技なのよ。そしてそれを毎日ネジを巻いてあげて使う楽しみってデジタルのものとは違った価値でしょう?

原田:現代のなんでも簡単便利と真逆。それが魅力で売れてるよね。Genjimetal も印鑑を押すこと、印面を丁寧に拭うこと。メインテナンスも含めてその一連で心の豊かさや所有することの優越感を感じてもらえたらいいなと。だって印鑑を押すって大切な場面だからさ。そしていつか時計のオーバーホールのようにクラブ化してずっと使っていけるそんなシステムを作りたいんだよね。

 

時短簡便時代のカウンターなのか?!
これから価値が上がりそうだぞ手間暇の豊かさ!

 

まだ続きます。




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